2016/12/08 更新

2016年テーマ 「心動いて元気になる」第10回 「雨ニモマケズ」

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デイサービスの送迎は雨が降ると一変に厳しくなる。晴れている時は何でもない道も、険しい山へ登るぐらいの気持ちに切り替わる。また夏の日差し、冬の北風、厳しい季節、天候の移り変わりは、ご利用者様の身体にダメージとして突き刺さる。送迎と言えば、先日他界されたT様を強く思い出す。一年の大半をデイサービスに参加され、自宅から送迎車までの50㍍を、本当に雨にも負けることなくご自身で歩く。夏の日も冬の日も繰り返して歩く。同じくスタッフも同行して強く降る雨の日は濡れてしまう。お互いの呼吸を合わせて送迎車までゆっくりと毎日歩き出す。転倒しそうになったこともあった。小雪の舞い散る中、少し急いで歩くこともあった。近所の方から木に実るさくらんぼをいただいたこともあった。小学生が心配そうな顔をしてついてくることもあった。お別れ会のすすむ中でずっと思い出していた。「よく頑張りましたよ。」そう胸の中で声をかけてお別れをした。一緒に過ごした厳しい日々は心に深く刻まれている。現在も階段の送迎、坂道の送迎、物理的外出困難のご自宅に住む、ご利用者様をスタッフ皆で頑張って送迎している。「階段があって外へ出られない。」そんな声をいただければ喜んで対応している。それはT様の力強い「外へ出る」という思いが、我々スタッフにも引き継がれているのだろう。本当に自宅から外へ出ることによる効果は計り知れない。生活の中に外へ出ることを取り入れることで人生も変わっていく。そのためにも外へ出る階段の送迎が必要となる。階段は安全への配慮が大切でありスタッフも通常の送迎よりも気を配る。階段送迎が始まった2年前から比べると格段に技量は向上しているが、階段送迎の一つ一つが気を許すことのできないケアである。そんな時、T様の歩く姿を思い出し、私たち介護士も一歩一歩険しい道のりも歩んでゆく。そんな心構えをもって日々のケアに取り組んで行きます。2016年も本当に温かいご支援・ご指導ありがとうございました。スタッフ一同心より感謝いたします。皆さまから頂戴した元気を、また皆さまへ届けるために、ご満足いただけるケアを提供することに日々努めて参ります。来年も変わらぬご支援、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

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